「これ、やるわ」 そう言って手のひらの上に落とされたのは 小粒の梅が咲く深紅の千代紙に包まれた金平糖。 目で実際に見えるわけではないけれど、それはとてもきらきらしているように 彼女には思えて。 小さな星達が自分の手の中で光っている。 「・・・ありがとう」 3月3日、上巳、桃の節句、雛祭り。 2人でそれを楽しむことはできないけれど。 これから先もその想いは叶う事は無いかもしれないけれど。 互いの想いは同じだから。 せめてこの手にある光だけは消えないで。 いつまで私達はこうしていられるのだろう?